真空成形の成形型 ~形状と材質~

当記事では、真空成形に使用される主な型形状、型材質とその特性についてご紹介します。各型形状、材質の特徴をしっかりと抑え、実際の成形型選定の際にご参考ください。 

真空成形とは?

はじめに、真空成形とは、どのような工法であるか、改めてご紹介いたします。

真空成形とは、樹脂板の両面をヒーターで加熱して、軟化させます。軟化させた樹脂板を型に吸着し、密着させます。その後、冷却して固化させ、後工程で余分な部分を切断する(トリミング)ことで、製品が製作されます。

真空成形は、代表的な樹脂成形方法である射出成型等とは違い、成形型が凸型か凹型のどちらか片側のみです。上記の理由から、安価で製品を製作できることが挙げられます。そのため、複雑な形状の小ロット品や、試作品であっても、問題なく製作することが可能です。

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真空成形の型形状

真空成形の成形型形状は、大きく分けて2つあります。基本的には、意匠面をどちらにするかによって、選択する型形状が異なります。下記にて各形状について詳しくご紹介します。

凸型

凸型は、突出した形状の製品を製作したい場合に使用される型形状になります。真空成形では、意匠面の関係から、基本的にこの凸型が幅広く使用されています。凸型を使用すると、中央部が肉厚になり強度が強くなります。これらの特性から、天面強度が必要な製品に多く用いられる型形状となります。この凸型は、凹型と比較すると、材料が少なく短期間で製作できるため、型費が安価であるといえます。また、寸法精度も出しやすくなります。

凹型

凹型は、真空成形でくぼみがある形状の製品を製作したい場合に使用される型形状になります。凸型と比較して、製品が縮みやすいため、高度な寸法精度を実現することは難しいです。また、凹型は凸型と比較すると、抜き勾配が少ないため、偏肉の発生も少なくなります。用途としては、偏肉が発生しやすい高さがある製品に向いています。

以上が、真空成形の2種類の型形状となります。続いて、真空成形に使用される成形型の材質とその特性についてご紹介します。

真空成形に使用される主な成形型の材質とその特性

真空成形の成形型は、大きく分けて、試作用(木型)、量産用(樹脂型、金型)の2種類に大別されます。まずは、各型材質の特性を簡単にまとめた下表をご覧ください。

型の材質 特徴  メリット・デメリット
木型 赤松、姫小松、ほう、
ケミカルウッド(人工木材)
試作などの少量生産向。安価。製作日数が短い。 価格が安くなる
耐久性が低くなる矢印価格が高くなる
耐久性が高くなる
樹脂型 エポキシ
ポリエステル
量産向。主に試作時の木型をマスター型にして複製して製作。
金型 アルミ、亜鉛合金 強度があり量産向。温度調節が可能。表面状態が良

木型(試作用)

木型(人工木材)は型費が安価且つ、製作日数が短いため、試作用として幅広く採用されています。型費が安価な代わりに、耐久性が低いため、20ショット程度しか使用することができません。また、成形品の表面状態も量産型と比較すると良好とはいえません。ちなみに、薄肉や小物の成形品は木型を量産用として使用する場合もあります。

樹脂型(量産用)

樹脂型は、主に試作時の木型(人工木材)をマスターとして製作されます。量産型として使用される樹脂型ですが、金型と比較すると、安価に製作することが可能です。一方で、樹脂型は金型よりも耐久性が低く、3,000〜5,000ショット程度の耐久性となります。用途として、透明の材料を使用する際に、樹脂型が使用されることが多々あります。ちなみに、樹脂型の注意点としては、金型等と比較すると、断熱性が高いため、温度調整が難しい点が挙げられます。]

金型(量産用)

金型は、樹脂型と同様に量産型として使用される成形型です。樹脂型と比較すると、耐久性が非常に高く(10,000ショット程度)、成形品の表面状態も良好となります。一方で、金型は、樹脂型よりも型費用が高くなります。ちなみに、金型は切削加工により形状の変更が容易に行うことができる点や、温度調整が簡単である点が特徴です。

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いかがでしたでしょうか。今回は真空成形に使用される成形型の形状と材質、そしてその特性について解説しました。

三栄プラテックでは、真空成形・圧空成形・熱プレス成形から切削・溶接・組立まで一貫して対応しております。特に真空成形においては、外観品質の要求が非常に厳しい輸送機器関係の成形品を多数手がけてまいりました。ショックラインの少ない仕上がりの綺麗な真空成形品を製作することを得意としております。

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