樹脂材料の接合方法って何が最適なの?樹脂材料別に解説!
樹脂と樹脂を接合する方法は様々あります。例えば、熱を利用した『溶接』、溶剤による『接着』、ネジやボルト、リベット等による 『締結』等が挙げられます。また、接合せずに『折り曲げ』加工...
樹脂と樹脂を接合する方法は様々あります。例えば、熱を利用した『溶接』、溶剤による『接着』、ネジやボルト、リベット等による 『締結』等が挙げられます。また、接合せずに『折り曲げ』加工により、機能を満たす場合もあります。
では、どのようにこれら様々な方法から、接合方法を検討するべきなのでしょうか。それは、ズバリ、接合を行う樹脂の特性を押さえておくしかないのです。なぜなら、同じ樹脂であっても、PET、塩ビ等は溶接に向いていますが、アクリルは溶接には不向きであるなど、細かな違いがあります。各材質の特性により、最適な接合方法は決まっていくのです。
当記事では、樹脂の真空成形・圧空成形・熱プレス成形・R曲げに長年携わってきた三栄プラテックの知見を基に、主な樹脂材料における最適な接合方法をご紹介していきます。是非最後まで、ご確認下さい。
溶接:PCへ溶接を行うと、歪みや発泡につながり、外観品質の低下につながる恐れがあります。そのため、PCは溶接に適していません。
接着:PCへ接着を行うと、溶剤により素材が溶けすぎてしまうため、接着強度が出なくなってしまいます。また、接着箇所が後から白化することもあります。そのため、PCは接着に適していません。
折り曲げ:PCは曲げ加工を問題なく行うことができるため、折り曲げ加工で機能を満たすことができる場合は、折り曲げ加工を行うことを推奨します。ただし、形状によっては反りが発生する恐れがあるので注意しましょう。
締結:PCは、締結による接合も可能です。しかしながら、製品同士の厚みが必要なので、製品形状によっては採用を検討しても良いでしょう。
溶接:アクリルは割れやすい材質であるため、溶接を行うと、溶接箇所の周りから割れが発生する恐れがあります。基本的には、溶接に不向きな材料といえます。
接着:アクリルは接着に向いており、溶剤に程よく溶け、強度が出るまで早い材料です。実際に多くのシーンでアクリルは接着により結合されています。アクリルの結合方法としては、接着が最適な方法といえます。
折り曲げ:アクリルへ曲げ加工を行うことは可能ですが、曲げ部を外側に開く力をかけると、割れが発生しやすいので注意が必要です。
締結:アクリルは締結による接合も可能ですが、やはりねじ穴部分から割れやすくなります。そのため、最適な接合方法とはいえないでしょう。
溶接:塩ビは、溶接に向いた材料です。溶接を良好に行うことができます。もちろん、溶接による接合の場合は、強度面も期待することができます。
接着:塩ビは、溶接のみならず、接着に向いた材料です。ただし、アクリルと比較すると、少し強度が出るまでに時間が掛かります。外観が求められる場合など、目的に応じて、接着の活用も検討すべきといえます。
折り曲げ:塩ビは、その材質の特性上、割れにくく曲げ加工も問題なく可能です。目的を鑑みて、折り曲げ加工の採用も検討してはいかがでしょうか。
締結:塩ビは締結による接合も可能です。ただし、ネジ・リベット等の目立ちを避けたい場合には、他の接合方法が良いでしょう。
溶接:PETへ溶接を行うことは可能です。しかしながら、溶接棒の種類が少ないので、最適な溶接棒を選択できず、溶接による歪みが大きくなる場合があります。そのため、溶接を採用する場面は、塩ビより少なくなります。
接着:PETへ接着を行うと、溶剤により素材が溶けすぎてしまうため、接着強度が出なくなってしまいます。また、接着箇所が後から白化することもあります。そのため、PETは接着に適していません。
折り曲げ:PETは、曲げ加工を問題なく行うことができるため、折り曲げ加工で機能を満たすことができる場合は、折り曲げ加工を行うことを推奨します。
締結:PETは、締結による接合も可能です。PETは面に対する衝撃強度は高いのですが、穴から割れやすいといった欠点があるので、注意が必要です。
溶接:ABSへ溶接を行うことは可能です。しかしながら、溶接棒の種類が非常に少ないので、最適な溶接棒を選択できず、溶接による歪みが大きくなる場合があります。そのため、溶接を採用する場面は極端に少なく、他の接合方法が合わない場合のみ検討しましょう。
接着:ABSへ接着を行うと、溶剤により素材が溶けすぎてしまうため、接着強度が出づらい傾向があります。(※時間が経てば、強度は出ます。)接着は可能ですが、相応のノウハウが求められます。
折り曲げ:ABSは、その材質の特性上、割れにくく曲げ加工も問題なく可能です。折り曲げ加工で機能を満たすことができる場合は、折り曲げ加工を行うことを推奨します。
締結:ABSは締結による結合も可能です。ただし、締結となると、ネジ・リベット等の目立ちを避けたい場合は、別の接合方法を検討しましょう。
溶接:PPは溶接を行うことができる材質ではありますが、剛性が低いので、必ずと言っていいほど、変形が発生します。外観品質と寸法精度を求める場合はあまり向いていないでしょう。
接着:PPへ接着を行うことはできません。理由としては、PPの材質の特性上、溶剤で溶かすことができないためです。
折り曲げ:PPは曲げ加工を行うことが可能です。ただし、PPは、弾性が非常に高くスプリングバックが発生しやすい、棒ヒーターの跡が付きやすいといった特性がありますので、注意しましょう。
締結:PPは締結による接合も可能です。ただし、締結となるとネジ・リベット等が目立つので、外観を許容できる場合に限ります。
三栄プラテックでは、樹脂の真空成形・圧空成形・熱プレス成形・R曲げ加工から切削・溶接・組立まで一貫して対応しております。当社にお任せいただければ、今回ご紹介した各樹脂材料に適した接合方法をご提案させて頂き、高度な外観品質を持つ製品を納入させて頂きます。
実際にこれまでも、外観品質の要求が非常に厳しい輸送機器関係の成形品を多数手がけており、豊富な実績がございます。樹脂の真空成形・圧空成形・熱プレス成形・R曲げ加工から切削・溶接・組立のことなら三栄プラテックにお任せください。