真空成形・圧空成形におけるシボ模様の目的と代表例

真空成形において、その表面の質感や機能性を向上させるための重要な技術の一つに「シボ模様」の加工があります。本記事では、真空成形におけるシボ模様に焦点を当て、その目的から代表的な種類までを詳しく解説します。

真空成形とは?

真空成形とは、加熱して軟化させた熱可塑性プラスチックシートを、型の形状に合わせて真空吸引することで成形する技術です。また、真空成形後にプラスチックシートを冷却して固化させ、後工程で余分な部分を切断する(トリミング)ことで、製品が完成します。

>>真空成形・圧空成形

真空成形・圧空成形のシボ模様

シボ模様とは、成形品の表面にある微細な凹凸を指します。真空成形において、このシボ模様は、①予めシボ模様のついた樹脂シートを使用する②金型表面に微細な凹凸をつけ転写する、といった2種類の方法で施すことが可能です。一方、圧空成形において、シボ模様のつけ方は、②の方法を採用することが一般的です。

(※ちなみに、射出成形等では、シート材ではなくペレット材を用いるため、②の方法でシボ模様つけることが一般的です。)

シボ模様の目的

シボ模様を施す主な目的は以下の通りです。

傷・汚れを目立たなくする

成形品の表面は、使用に伴い傷や指紋、汚れなどが付着しやすいものです。シボ模様があることで、これらの傷や汚れが模様の凹凸に紛れ込み、目立たなくなる効果があります。これにより、製品の外観を長期間美しく保つことができます。

意匠面の外観品質向上

シボ模様は、製品の表面に独特の質感を与え、高級感やデザイン性を向上させる役割を果たします。光の反射を拡散させる効果もあるため、滑らかな表面に比べて落ち着いた印象を与えることが可能です。様々な種類のシボ模様を使い分けることで、製品のコンセプトやターゲット層に合わせた外観デザインを実現できます。

滑り止め

製品によっては、表面の滑りやすさが問題となる場合があります。特に、人が触れる部分や、安定性が求められる部品などには、滑り止めの機能が重要です。シボ模様の微細な凹凸は、表面の摩擦係数を高め、滑り止め効果を発揮します。

シボ模様の種類

真空成形・圧空成形に用いられる代表的なシボ模様には、以下のような種類があります。

梨地

梨の表面のような、細かく規則的な凹凸を持つ模様です。マットで落ち着いた質感を与え、光の反射を抑える効果があります。傷や汚れが目立ちにくく、幅広い製品に採用されています。

皮シボ

皮革製品の表面のような、比較的不規則な凹凸を持つ模様です。上述の効果はもちろんですが、 高級感を演出する効果もあります。ただし、一口に皮シボといっても、様々な種類があるので注意が必要です。

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真空成形・圧空成形のことなら、三栄プラテックにお任せください!

いかがでしたでしょうか。今回は真空成形・圧空成形におけるシボ模様についてご紹介しました。

三栄プラテックでは、真空成形・圧空成形・熱プレス成形から切削・溶接・組立まで一貫して対応しております。特に真空成形・圧空成形においては、外観品質の要求が非常に厳しい輸送機器関係の成形品を多数手がけてまいりました。ショックラインの少ない仕上がりの綺麗な真空成形品を製作することを得意としております。

また、当社では、お客様からご相談いただけましたら、そのご要望に最適な成形条件(成形型、材質等含む)をご提案することが可能です。真空成形・圧空成形のご依頼でお悩みをお持ちの皆様、まずは三栄プラテックにご相談ください。

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