真空成形と圧空成形の成形型はどう違うのか?

真空成形とは?

真空成形とは、加熱して軟化させた熱可塑性プラスチックシートを、型の形状に合わせて真空吸引することで成形する技術です。また、真空成形後にプラスチックシートを冷却して固化させ、後工程で余分な部分を切断する(トリミング)ことで、製品が完成します。

圧空成形とは?

圧空成形とは、熱で軟化させた熱可塑性プラスチックシートに対し、真空吸引と同時に圧縮空気を加えることで、シートを金型に密着させ、狙いの形状に成形する加工法です。真空成形が真空吸引のみ、つまり、”マイナスの空気圧”を利用するのに対し、圧空成形は真空吸引と圧縮空気、すなわち、”マイナスとプラスの空気圧”を併用します。どちらも真空で樹脂を成形するという点で、広義には同様の加工方法と言えます。

>>真空成形・圧空成形

圧空成形では、よりシャープな形状を成形できる!

真空成形と圧空成形の最大の違いは、成形できる形状になります。圧空成形は、その加工特性から真空成形と比較して、射出成形に匹敵するシャープな形状と高い寸法精度を実現します。これにより、アンダーカット形状を含む多様な製品の成形が可能です。

>>真空成形と圧空成形の違いとは?

ただし、上述の通り、加工方法がやや異なるため、成形型には大きな違いがあります。

真空成形と圧空成形の成形型はどう違うのか?

では、本題である、真空成形と圧空成形の型はどう違うのか簡単にまとめます。

真空成形型

  • 凸型、凹型のどちらか片側を用いる
  • 圧空成形ほど耐久性が求められないため、ロット数に応じて金型のみならず、木型・樹脂型が使用可能
  • 意匠面が成形型にあたるケースと、あたらないケースがある
  • シボが求められる場合には、シボ模様の材料を活用するケースが多い(意匠面が成形型当たらないケースに限る)

圧空成形型

  • 基本的に凹型
  • 意匠面が成形型にあたる
  • 耐久性が求められるため、基本的には金型が必要となる
  • 型サイズに合わせて、圧空ボックスを作る必要がある
  • シボが求められる場合には、金型に設ける必要がある
  • 割り型(本体の型から外す)を用いて、アンダーカット形状を実現することができる

最も大きな違いは下記の4点となります。

違い①:凸型・凹型の違い

そもそも成形型は凸型と凹型に大別できますが、凹型の方が面積が大きく、型費用も高くなります。真空成形では、凸型が用いられるケースが多いですが、圧空成形では凹型が用いられます。結果として、圧空成形の方が型費用が高価になってしまいます。

違い②:成形型の材質

真空成形では、圧空成形ほど耐久性が求められないため、ロット数に応じて木型・樹脂型・金型の選択が可能です。一方で、圧空成形では耐久性が求められるため、金型を用いる必要があります。もちろん金型が最も高価になりますので、型費用もやや高価になります。

違い③:シボ模様のつけ方

真空成形では、意匠面が成形型に当たらないケースが多いです。この場合、シボ模様がついた素材を活用することで、簡単にシボ模様のついた製品を成形できます。一方で、圧空成形の場合、意匠面が成形型に必ず当たります。この場合には、成形型にシボ模様を入れる必要があるため、金型費用はより高価になります。

輸送機器用内装部品(ABS 圧空成形品)

違い④:圧空ボックスの有無

圧空成形では、その加工方法の特性上、圧空ボックスが必要になります。そのため、金型のみならず、圧空ボックスを製作する必要があります。

真空成形・圧空成形のことなら、三栄プラテックにお任せください!

いかがでしたでしょうか。今回は真空成形と圧空成形の成形型の違いについてご紹介しました。

三栄プラテックでは、真空成形・圧空成形・熱プレス成形から切削・溶接・組立まで一貫して対応しております。特に真空成形・圧空成形においては、外観品質の要求が非常に厳しい輸送機器関係の成形品を多数手がけてまいりました。ショックラインの少ない仕上がりの綺麗な真空成形品を製作することを得意としております。

また、当社では、お客様からご相談いただけましたら、そのご要望に最適な成形条件(成形型、材質等含む)をご提案することが可能です。真空成形・圧空成形のご依頼でお悩みをお持ちの皆様、まずは三栄プラテックにご相談ください。

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